投資信託 海外債券のリスク
サブプライムローン問題にも比較的大きな落ち込みを見せなかった海外債券もののファンドが最近ガタガタ落ちてきています。これは、米ドル以外の為替が円高になっているからでしょうか?世界的に金利が下げ方向だと思うのですが、金利下降局面では債券価格は上がるのではないでしょうか?株式ファンドが下がっているのに 一緒に海外債券も下がっているのはなぜですか?
FP岩川の解答
仕組みを理解しましょう。
> 海外債券もののファンドが最近ガタガタ落ちてきています。
> これは、米ドル以外の為替が円高になっているからでしょうか?
短期的な値動きの要因は、必ずしも一つとは限りません。
しかし、投資先が海外資産であれば、為替に大きく影響されます。
今回も為替が影響していると思われます。
> 金利下降局面では債券価格は上がるのではないでしょうか?
おっしゃるとおりですが、
債券は、金利の下降局面では、利率の高い既発債券の価値が高まることから、一時的に上昇します。
しかし、債券価格の上昇は、投資リターンそのものが上昇する訳ではありません。
また、金利の下降局面では、債券投資の魅力は薄れ長期的には、債券の投資リターンは下降します。
少しずつ追ってみていきましょう。
例えば、(税金等は考慮していません)
保有債券100万10年2% = 10年で20万利息・・・(1)
金利低下により、
新発債券は100万10年1% = 10年で10万の利息・・・(2)
この場合、(1)の債券価格は、110円まで上昇すると考えられます。
投資リターンが同一になるように市場が調整するわけです。
(金利が下降し始めると、債券が買われて価格が上昇するのです。)
金利の低い債券は投資先として見劣りします。
つまり、金利下降局面では、一時的に投資利回りを調整するために債券価値は上昇しますが、投資先としても魅力がありませんので、積極的な債券投資はされません。(または、売られます)
> 株式ファンドが下がっているのに 一緒に海外債券も下がっているのはなぜですか?
金利低下は、企業の設備投資の活況が期待できるため、金利の低い債券を購入するより、株式の方が儲かると考え、株式市場が徐々にお金が流れ込み上昇します。
世界中のマネーは、
過大評価されている地域から、過小評価されている地域に流れ、
金利の低い国から高い国、
債券から株式、株式から債券と移動します。
短期で見ると一時的には、株式債券が同一方向に動く場合もありますが、珍しことではなく、長期的にみれば、徐々に修正されます。
ファンドそのものは、長期投資を目的とした商品です。
短期的な動向はあまり、気にせず長期的に考えることが大切です。
海外債券ファンドを一つの商品として考えるのでなく、
複数の外国の債券を保有していることを理解しましょう。
ファンドが保有する一つ一つの債券が、どのこ国が発行し、どの程度利率があるのかなどにより、値動きは大きく異なってきます。