コモディティ(商品)ファンドは資産形成に必要?

銀行から投資信託を勧められたことをきっかけに、投資について調べています。

外国株式と外国債券の投資信託を購入しようと考えていましたが、雑誌などで、原油や金属の値上がりから、商品に連動するファンドも買うべきだと書いてありましたが、やはり少しだけでも保有した方がいいですか?


FP岩川の解答

複利の株式投資、複利でない商品投資

結論から申し上げます。
運用の目的や期間、考え方により異なり、良い悪いの判断はできないと思います。
もし、商品ファンドの仕組みに理解がなければ、無理をせず、資本主義の原動力である株式投資のできるファンドを中心に外債ファンドを加えただけでも、十分質の高い資産形成はできます。

ただ、世界中のマネーは、
高く評価(割高)されている地域から、
安く評価(割安)されていると思われる地域へ移動します。
また、株式資産が低迷すれば、債券資産へ。

金利が低くければ、高いものへ移動して行くのです。
最近では、資本市場(株式や債券)から商品市場に移動することが目立つようになりました。このお金の流れを受け、世界の運用機関も、国際商品への投資比率を拡大しています

先日も、世界最大の米国年金基金カルパースは、60%の株式資産を、2年、3年かけて56%に下げ、その分で、原油や金、不動産の比率を今までよりも高めていくと発表がありました。今後、各国もその動きに追随すると予想されますので、ますます、国際商品への投資は身近になることでしょう。
  
ただ、株式投資と商品投資は少し考えが異なると思います。
  
株式投資は、事業により挙がった収益から、配当金を支払い、残る収益は、次年度の事業に再投資されます、つまり、複利運用です。また、その株式会社に投資をする株式投資信託の運用でも、企業から得た配当金を取り込み、また、株価の上昇により純資産が殖えた中から、分配金を支払い再投資されます。
  
株式投資は、投資したお金で事業を行い収益を生むことができるわけです。

その一方で、商品指数に連動するファンドは、
原油や金、農産物に投資をしても、その投資先自体は利益を生まず、
価格の値動きによって、収益を得ることになります。
つまり、投資先自体は、収益を生まないわけですから、複利運用という考え方ではなく、単純な値上がり期待ということです。

例えば、
トウモロコシの現物を買って保有するのが商品投資で、
トウモロコシを生産する農家にお金を貸すのが株式投資。
と考えたらわかり易いかも知れません。

長くなりましたが、まとめます。
たくさんの異なる資産を合わせ持つと、お互いの動きが相殺され、収益が安定すると言われます。その観点から言えば、商品ファンドを取り込むメリットはあるでしょう。

しかし、物価上昇の回避だけを目的にするならば、株式や債券投資をじっくりと長期に行えば、十分と考えても良いでしょう。